6、結末・・・




お姉さまたちが入ったお店、その名前は
「姉妹倶楽部(スールクラブ)」!!
どういうこと!?
「『このお店では、今とは違う、新しい下級生とスールの誓いを結ぶことができます。
学園でのスール生活に飽きたあなたに、一時の安らぎを・・・』ですって」
「えぇぇぇぇぇえええぇ〜〜〜〜〜〜!!」
見事にハモる私と由乃さん。

じ、じゃあ、私たち、お姉さまに愛想をつかされて・・・!!
確かにいい妹じゃなかったけど、だからってそんな!!
「まって、祐巳さん、中の声がかすかにきこえるっ」
由乃さんは扉に耳をつけ、中の声を聞こうとしている。
私もそれに習って様子を伺うと、確かに中からお姉さまたちの声が!!

『まったく、だらしなくってよ?』
『ごめんなさい、お姉さま・・・』
お、お姉さまっ!?
『素直な子って好きよ?わがままいわない子が』
『私はわがままなんて言わないですよ!お姉さまが居てくれればそれで・・・。ぽっ』
「れ、令ちゃん!!」
こ、こんなことって!!
『今の妹と、私、どっちがいいですか?』
『もちろんあなたよ』
「お姉さま(私たち)の後をつけてくるような妹よりはねっ!!」


そこで、急に扉が内側に開いた。
扉に寄りかかるようにして中の声を聞いていた私たちはもちろん・・・。
「きゃあっ!?」
二人仲良く部屋の中へ!
体を起こすとそこには」仁王立ちしたお姉さまと令さま。
「え、えぇ〜と・・・」
とりあえず、笑っとこうか、な?
はははは・・・。はぁ。


このお店も、さっきの妹役の女の子たちも全部、
私たちを懲らしめるためのものだったらしい。
「由乃」
「はい」
さすがの由乃さんもうなだれている。
しかし、志摩子さんもスパイだったとは。
「祐巳。何が悪いか、わかっていてね?」
「はい、ごめんなさい・・・」
でも、私は一つだけお姉さまに言いたいことがあった。

「おねえさま。」
「なに?言い訳?」
「ちがいます。でも、もう二度とこんなことはしてほしくないです!
冗談でも、私以外の妹がいいなんて・・・っ!!」
言いながら涙が出てきた。今思い出してもこの世が終わるのではないかと
思えるほどの恐怖がこみ上げてくる。
「祐巳」
「わ、わたし、確かにいい妹じゃないし、山百合会の仕事だってぜんぜんできません。
でも、でも・・・」
そこから先はもう言葉出てこなかった。ただただ私は子供のように
泣きじゃくることしかできなかった。
突然、私をふわりと暖かいものが包み込んだ。
「そうね。これからは気をつけるわ。
嘘でも、冗談でも他の子が祐巳よりもいいだなんていわないわ。
絶対」
それはお姉さまだった。
やさしく私を抱きしめてくれている。それだけで、私の恐怖はいっぺんに吹き飛んだ。


お姉さまってすごい。
言葉1つで私たちを地獄に突き落とすことも、
天国に上らせることもできるんだから・・・。
横に目をやると、隣の令さまと由乃さんも抱き合ってる。
私たちみたいなやり取りがあったんだろう。
その後、私たちはお姉さまに寄りかかるようにして帰路に着いた。
志摩子さんは気をきかせてくれたのか、いつの間にかいなくなっていた。


END




・・・後日、由乃さんとの会話で。
「けっきょく、令さまがお姉さまと二人で出かけようとしたわけ、なんだったんだろう・・・」
「あっ!聞くのわすれてた!!」


今度こそ、END


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