4、作戦失敗?成功?



「でも、今日は何が目的で駅まで来たんだろう」
追跡途中、由乃さんがぽつりといった。
「それがわからないからこうして後つけてるんでしょ?」
そうなんだけど、と由乃さんはあごに手を当てて考え始めた。
「二人で出かけるとなると山百合会関係かな・・・」
今日は人がおおいなぁ。
ぶつぶつ言ってる由乃さんとはぐれないように腕をつかむ。
「でも、お二人が山百合会関係の用事なら、私たちにも何か知らせてくれると思うのだけれど」
見失わないように二人の背中をしっかりと見据えながらつぶやく。
たしかに。薔薇のつぼみ(プティスール)である渡しただけならともかく、白薔薇(ロサギガンティア)の
志摩子さんが呼ばれないというのは少しおかしいかも。
となると、やっぱり私用なのかな・・・?


って、あれ?お姉さまは?令さまもみあたらない。
どうしようっ
「由乃さん!、はぐれちゃった!!」
「え?うそっ!!」
きょろきょろとあたりを見渡す。
「平気よ。あっちに行くのを見かけたから」
志摩子さんはすたすたと先に行ってしまう。
「ま、待ってよ、志摩子さん!」
「さすがに祐巳さんより役に立つわね」
「もう、なによそれっ!!」
私たちは慌てて志摩子さんを追いかけた・・・。


「はぐれてしまったみたいだけれど、平気なの?」
何事も無かったかのように祥子がたずねてくる。
「もちろん。はぐれたときのことも考えて、手は打ってあるわ」
その辺はぬかりはない。
頼みにしてるわよ、志摩子。

その5へ

<ショート・ストーリーコーナーへ>

inserted by FC2 system