2、「令ちゃんと祥子さま追跡大作戦!!」開始



朝9時。昨日由乃さんと約束した時間に祐巳は駅前に来ていた。
何とかして由乃さんを止めなくちゃ!
半面でお姉さまと令さまが私たちに内緒で何をしに来たのかも少し気になる。
「祐巳さん、お待たせ!」
「ごきげんよう」
「あ、由乃さん、志摩子さん、ごきげんよう」
いつもどおりのあいさつ。由乃さんと志摩子さんも時間通りに・・・。
・・・・・・・。
って、志摩子さんっ!!?
「な、ななんで志摩子さんがここに!!」
普通に挨拶していたではないか。
「祐巳さん。さすがにあなたの将来が心配になってきわ・・・」
「そうかしら?そこが祐巳さんのいいところだと思うけれど」
フォローになってなってないよ、志摩子さん。

「ところで、何で志摩子さんがここにいるの?」
咳払いをして場をごまかし、私は一番聞きたかったことを由乃さんに尋ねた。
「私と祐巳さんだけより自然かな?って思ったからよ。」
きっぱりと言い放つ由乃さん。
「ごめんね、志摩子さん。なんか予定とか有ったんじゃないの?」
「特に何も無かったし、暇してたから丁度よかったわ」
あぁ、志摩子さんに後光が差して見えるよ。なんていい人なんだろう。
「なんか私が悪いみたいじゃない。」
「それ、ちょっとあたってるかも。」
志摩子さんまで巻き込んだ追跡劇はどこへ向かうのだろう。
「幸先不安だわ・・・」
「まぁまぁ祐巳さん。せっかくだから楽しみましょう」
「そうよ。ウィンドウショッピングに来たと思って」
由乃さんが先頭に立って歩き出す。
こうして「
令ちゃんと祥子さま追跡大作戦!!」は始まったのでした。
 

朝出かける由乃を見かけた。駅で待ち伏せしてから後をつけるらしい。
私は何も知らないフリをして由乃に話しかける。
「どこかにいくの?由乃」
「うん。ちょっと祐巳さんと志摩子さんと買い物に行ってくる!」
やっぱり昨日の電話は祐巳ちゃんだったか・・・。
それにしても志摩子まで誘うなんて、なかなかの手の込みようだ。
あの電話を聞いていなかったら普通に納得してしまっていたかも知れない。
でも、こっちにも策はある。昨日祥子と考えた、由乃を懲らしめる罠だ。
これからどうなるか、少し楽しみになってきてしまった。
でも、これじゃあ本来の目的は果たせそうもないなぁ・・・。


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